カンボジア号幻影


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2005年03月09日(Wed)
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カンボジア号幻影

恵原 義之:新風舎文庫

畏友・恵原義之くんが、50代半ばをすぎてのインド駐在のつれづれに、若き学生時代のアジア放浪の旅をつづったもの。
彼がこんなに文章が巧みだとは思っても見なかった。旅のさなかに書き綴ったメモを傍らに置いての執筆だろう、人名や地名など正確な固有名詞をおさえつつ、69年当時の学生バックパッカーの旅をリアルに描いている。
表題の「カンボジア号幻影」と「南アジア遊行1969」の2作が収められているが、圧倒的に前者がいい。後者は紀行文の範疇を出ないが、前者は立派に文学に昇華している。

61年に小田実が「何でも見てやろう」を出版し、社会的注目を集めた。
64年、東京オリンピックを契機に日本人の海外旅行が自由化された。
これと前後し、テレビでは毎日放送がハワイ旅行を賞品としたアップダウンクイズの放送を開始、サントリー(当時の社名は寿屋)が「トリスを飲んでハワイに行こう!」のキャンペーンを始めた。
オリンピックで東京に外人観光客が多く訪れたこともあり、団塊の世代の若者の間では海外旅行が、夢や憧れから具体的な目標へと姿を変えた。
大阪外語の学生であった著者もまた、その熱気に煽られ、神戸からフランスのMMの客船カンボジア号の3等船客としてアジアの放浪に旅立ったのだ。

今でもバンコックのカオサン通りには当時の旅のスタイルが命脈を保っている。
行く先々で安宿に泊まると、同じような貧乏旅行者がたむろしている。そこで友好を温め旅行情報を交換し気ままに次の町に旅立っていく。気が合えば一緒に旅をしやがて別れ、運がよければ暫くして別の町で思わぬ再会を遂げる。
そんな日々が今日も続くし、明日もまた続くのだろう。
ベトナム戦争は続いていた。日本からだけでなく、アメリカからもヒッピーと呼ばれる若者たちが、「一日10ドルで暮らす海外旅行」というベストセラーを片手に海外に流れ出ていた。ヨーロッパからの若者も多かった。
時に興奮に、時にけだるさに彩られた自由がそこにはあった。

私事になるが、ぼくは著者の旅の翌年にヨーロッパを放浪した後、アジアのいくつかの都市を飛び石伝いに帰国した。
著者も立ち寄ったニューデリーのコンノートサーカスのインディアンコーヒーハウスは懐かしい。
ぼくも、YMCAに滞在しつつ、このインディアンコーヒーハウスで3日を過ごしたのだ。
YMCAは、ぼくらのような貧乏旅行者には不釣合いに高級だったが、旅の終わりも近く、体調の都合で冷房なしでは耐えられないと思ったぼくは、清水の舞台から飛び降りるつもりでここに宿を定めたのだった。
そんな思い出が次から次によみがえってくる。

今考えても、学生時代の海外放浪は、ぼくの人生でも特別な時間だった。
金は全くなかったにもかかわらず、黄金のような豊かな時間だった。
夢を持っていた。好奇心はフル回転だった。多くの気のいい友達と出会いそして別れた。
もう一生あんな旅は出来ないのだろうか?
定年後、もういちどあんな気ままな旅をしてみたい。

著者はぼくより一足さきに今年定年を迎えるはずだ。
恵原くん。シルバーにふさわしい満ち足りた豊かな旅のあり方を模索し、そのノウハウを伝えてくれたまえ。



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